理系の転職で研究職派遣ってどうなの?元中の人が解説します

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たぬよ
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研究職派遣の派遣元で働いたことのある私が

研究職派遣について解説します!

理系の転職で求人情報を見ていると「研究職派遣」という求人を見かけることがあると思います。

求人だけ見ても、派遣なのに正社員ってどういうこと?本当に研究職ができるの?
と、よく分からないことも多いと思います。

私は派遣会社で、派遣される研究者のサポート等をする仕事をしていたことがあります。

実際に研究職派遣で働いている人の中には、理想と現実のギャップに苦しんでいる人もいらっしゃいました…。
その原因は恐らく「研究職派遣」について理解せずに入社してしまったことが1つの理由であると考えています。

そうならないためにも、この記事では、中の人だから分かる研究職派遣の実情をお伝えしたいと思います。

この記事でわかること

●研究職派遣の3つの種類の違い
●正社員型派遣の業務内容と転職するメリット

しっかり研究者派遣について理解した上で転職先として選択しましょう。

転職を考えているあなたも、ぜひ参考にしてくださいね!

この記事を書いた人

・理系出身アラフォーたぬき顔
・転職回数4回、年収は1社目が1番高かった
・派遣会社で理系社員のサポート業務経験あり
・旦那は転職3回で年収1000万円超え
・転職が上手くいかなかったからこそ気持ちが分かる
・理系の転職者を幸せにしたい!

研究職派遣とは?

まず始めに、そもそも研究職派遣とは何かを解説します。

研究職の派遣サービスには大きく分けて3つの種類があります。
この違いが後々大切になりますので、しっかり読んでくださいね!

 【研究職派遣の種類】
  ❶登録型派遣
  ❷紹介予定派遣
  ❸正社員型派遣

これらは既に知ってるよ、という方は次の【理系の正社員型派遣について】からお読みください!

研究職派遣①:登録型派遣

研究職派遣の1つ目は登録型派遣です。
一般的にイメージする「派遣社員」は「登録型派遣」のことを言います

契約期間(一般的に3ヶ月や6ヶ月のことが多い)が決まっており、派遣先との合意があれば同じ契約を基本的に3年まで更新できます。

また、勤務内容や勤務地・時給などを自分で選ぶことができます。
派遣会社が転職エージェントのようなイメージです。契約期間中は派遣会社のサポートを受けることができます。
2020年の労働者派遣法の改正により、登録型派遣にも交通費が支払われるようになりました。

登録型派遣のメリット・デメリット

●メリット
・自分の希望する業務・勤務地を選択できる。
・派遣された職場で問題があれば派遣会社が仲介してくれる。

デメリット
・契約更新されないと無職になる。
・長くても3年で派遣先が変わる。

研究職派遣②:紹介予定派遣

研究職派遣の2つ目は紹介予定派遣です。

その名の通り、社員登用を前提として一定期間(最長6ヶ月)を派遣として働きます。

派遣期間終了後に派遣先と合意があれば正社員になります。
もちろん自分から断ることもできます。

紹介予定派遣のメリット・デメリット

●メリット
・派遣期間終了後は正社員で働ける可能性が高い。
・企業と自分の希望が合うかどうか試すことができる。

デメリット
・派遣期間はボーナスの査定に入らないことが多い(企業による)
・正社員雇用されない可能性がある。

研究職派遣③:正社員型派遣

研究職派遣の3つ目は正社員型派遣です。
これが1番ややこしいと思います。正社員?派遣?どっち?となりますよね。

正社員型派遣は派遣会社の正社員となります。
派遣会社の正社員として所属し、他の企業(派遣先)に派遣されて働きます。
派遣先と派遣会社の契約は「派遣」ですが、一般的なイメージだと派遣される社員は「出向」に近い感覚と考えてください。
よって、派遣契約が終了してまだ次の派遣先が見つからない場合でも、派遣会社から給与が支払われます。

正社員なので派遣会社によっては家賃補助や資格手当が出たり、しっかりとした教育プログラムがあったりといった福利厚生を受けられます。
ただし派遣先を自分の希望で選ぶことはできません。←重要

さらに、派遣法にある3年ルールは適応されないので、同じ派遣先で長く働くこともできます。(3年ルールは簡単に言うと「派遣で3年過ぎたら正社員として雇用しましょう」という意図のルールなので、既に正社員の正社員型派遣には適応されません)

正社員派遣のメリット・デメリット

●メリット
・福利厚生が登録型/紹介予定派遣より充実している場合が多い。
・派遣されていない期間も給料が支払われる。
・3年以上同じ派遣先に派遣できるので、長くスキルを積むこともできる。

デメリット
・希望しない業務や勤務地に就くことがある。
・人によっては転勤が多い。

研究職派遣のまとめ

研究職派遣の3パターンをまとめると下記の表のようになります。

登録型派遣紹介予定派遣正社員型派遣
雇用形態派遣派遣派遣会社の正社員
雇用期間有期雇用
(基本最長3年まで更新可)
有期雇用
(最長6ヶ月まで)
無期雇用
(退職するまで)
給与時給時給固定給
派遣先選択可能選択可能基本的に選択不可
メリット勤務地や勤務内容の希望に合わせて働ける正社員で働ける可能性が高い派遣されていない期間も給料が支払われる
デメリットスキルが身に付きづらい正社員雇用されない可能性もある希望しない業務になる可能性がある

重要なのは、正社員型派遣は正社員の安心感はあるが、業務内容は基本的に選べないというところです。

一般企業でも基本的に好きな部署を自分から選べる訳ではないし、転勤があったら基本的に行かなきゃいけないので、業務内容が選べないのは当然ではあるのですが、登録型派遣と認識が混同していると「なんでこの業務やらないといけないんですか?」という疑問が生まれるわけです。

こうなると派遣元も派遣される社員もお互い幸せになれないので、入社前にしっかり理解しておきましょう。

また、派遣法はよく改正になるので、登録型/紹介予定派遣を希望の方は派遣法についても知識があると良いと思います。

このブログを読んでくださっている方は正社員での転職を考えている方が多いかと思いますので、研究職派遣の中の「正社員型派遣」の実情について詳しくお伝えしていきたいと思います。

ここからは中の人として働いていた私が、
理系の正社員型派遣の業務内容とメリットについて解説します。

理系の正社員型派遣の業務内容とは

「理系の正社員型派遣」と聞いても、業務内容が分かりにくいと思います。
例えば以下のような業務があります。

 ⚫︎製薬メーカーでの安全性の試験業務
 ⚫︎検査会社での臨床検査業務
 ⚫︎大学研究室での実験補助業務
 ⚫︎化学メーカーでの安全性試験業務

その他、多種多様な業務があります。派遣先も大企業や有名大学が多いです。
私も業務内容を聞いてワクワクするものがたくさんありました。

ちなみに「理系 派遣」で検索するとリクナビ派遣でいくつか求人を見られますが、正社員型派遣でも同様な案件がありますので、参考にできるかと思います。

おまけ

これは私の個人的な見解ですが、企業が求人する際に正社員型派遣にするか登録型派遣にするかは、人事や現場担当者の好みだったりもします。当時はまだ正社員型派遣についての認識が広まっていない印象もあります。

ただ、一度正社員型派遣で採用してもらえると、ずっとそれが続くことが多いです。
企業側も人が足りなくて派遣を採用しているので、3年でまた新しい人を教育し直すよりは、長く働ける正社員型派遣の方が良いのだと思います。

長く同じ派遣先にいられるということは、(派遣先にもよりますが)スキルを積み重ねることができるということなので、お互いにメリットがあります。

Q:派遣での業務内容は補助業務が多いの?

これは完全に派遣先によって異なります

ほぼ正社員と同じ業務を任せられる場合もありますし、完全に補助作業しかさせてもらえない場合もあります。これは派遣先の「派遣」に対する考え方の違いによるものです。

正社員型派遣では社員がスキルアップできる環境で働けることが望ましいため、派遣元では派遣先の企業などに対して「もっと正社員と同じ業務もさせてください」といったお願いをしていました。

理系の正社員型派遣での不満

もちろん働けば不満が出る人もいます。
派遣会社は派遣している社員と面談し、派遣先との調整などを行います。その際に私が聞いた不満の一例をご紹介します。

やりたい仕事ができない

この不満が多いのですが、そもそも登録型派遣とは違うので派遣先は選べません
なるべく希望と近い案件を探しますが、派遣元も派遣しないで給与を払い続けたら赤字なので、どこかに派遣せざるを得ないのです。

また、正社員との仕事内容の差に不満がある場合もありました。
上記の通り派遣元や本人からの直接のアピールで業務内容が変わった場合もあります。

正社員とはいえ更新月はメンタルがキツイ

派遣が更新されない場合も給与は支払われ続けますが、次の派遣先で1から作業を覚えなければならない、人間関係も1から築かないといけない、派遣先によっては引っ越しを伴う場合があるので自宅の環境の変化もある…となると更新をドキドキして待っている人も多いようでした。

引っ越しが多い

派遣会社にもよりますが、私の働いていた派遣会社では遅刻や交通機関の遅延のリスクを少なくするため、派遣先の近くに住んでもらうようにしていました。

よって派遣先が変わる=引っ越しとなるので、人によっては何度も引っ越しをしなくてはならず、ストレスになるようでした。派遣会社によっては地域限定社員などの制度もあるので、家族のいる人はそれを利用したりしていました。

理系の正社員型派遣で働くことのメリット

私の考える理系の正社員型派遣で働くメリットは下記の通りです。
(●…メリット、▲…ややメリット)

 ⚫︎ブランクがあっても研究職に戻りやすい(条件は派遣会社による)
 ⚫︎家族の転勤などがあっても退職せずに仕事を続けやすい
 ●次に研究職で転職しやすくなる

▲研究職で働ける(新卒なら◯)
 ▲大企業で働ける可能性がある
 ▲色々な企業で働けるので知見が広がる

もしあなたが研究職としてのスキルを積むために正社員型派遣に転職したいと考えているのであれば、少し考えてみてください。

研究職ならなんでも良いというなら問題ありませんが、あなたの研究職に生体試料の分析業務は含まれますか?単純作業からスタートでも頑張れますか?あなたの欲しいスキルとは何ですか?

私個人としては、単純にスキルを積みたいのであれば一般企業に転職をおすすめします
なぜなら、正社員型派遣はどういうスキルを積めるかが予測しにくいからです。予測できないと人生設計しにくいからです。

なので、もし正社員型派遣を転職先として検討するのであれば、ブランクを埋めるためや、文系の仕事から理系の仕事に移るためのステップとして転職するのが良いと考えています。

もちろん今も幸せに働いている方が大勢いらっしゃいますし、社会に必要な仕事だと認識しています。派遣先の有名企業にそのまま正社員として転職できて喜んでいた方もいました。ですので決して正社員型派遣を否定している訳ではありません。
どこに転職するとしても、よく理解して選択して欲しいと思って記事を書いています。

理系の正社員型派遣って年齢が高くなってても大丈夫?

派遣は年齢が高くなると採用されづらいと聞いたことがあるかもしれません。
正社員型派遣も正社員とはいえ、派遣会社で働く中で年齢はやや考慮する必要があると感じました

派遣元で働いていた時に「指示する正社員より年齢が低い人がいいな」のような希望を派遣先の担当者からぽろっと聞くことがあります。
募集の際に年齢制限することは本来できませんが、あくまで個人的な雑談の中で。

もちろん年齢が高くても特化したスキルがあったり、長く同じ派遣先にいる方で活躍している方はいらっしゃいました。しかし、私が働いていた時は40代の研究職社員は少なく、それ以上はほとんどいませんでした。

派遣も転職と同じです。スキルがないなら若い人か、スキルのある人が求められます。
派遣先が変わる中でスキルを積み重ねるのは難しい場合もありますが、資格を取るなど常に意識してスキルアップをしていないと、正社員型派遣の研究職で長く勤めるのは難しいと思いました。

ただ中には派遣される研究職ではなく、派遣されていたときの経験を活かして営業や教育などの運営側として働く方もいました。そういったビジョンを持ってスキルを積んでいくというのも良いかもしれません。

どんな人が理系の正社員型派遣に合う?

上記を踏まえ、どんな人が理系の正社員型派遣に合うかをまとめました。

理系の正社員型派遣に合う人の特徴
 ❶環境の変化を楽しめる
 ❷コミュニケーションが得意
 ❸向上心がある
 ❹ブランクがあるけど研究職で働きたい(条件は要確認)

理系の正社員型派遣に合わない人の特徴
 ❶環境の変化が苦手
 ❷職場の人と仲良くなりたくない
 ❸業務内容にこだわりがある
 ❹年齢が高い(高スキルなら問題なし)

ちなみに生物系の学科を卒業した人が多く、若ければ学生実験レベルでも化学系(特に合成)や物性分析の経験は重宝される傾向があります。しかし特化したスキルがなければ、長く更新されるかどうかは人柄が大きいかなと思います。そういう人は、そのまま派遣先の正社員に登用される場合もあります

まとめ

今回は、研究職派遣について解説しました。
研究職派遣には①登録型派遣②紹介予定派遣③正社員型派遣の3つのパターンがあります。

その中でも正社員として働く正社員型派遣について詳しくお伝えしました。

理系の職歴ができるというメリットがありますが、どんな業務でどのくらいスキルを積むことができるかは派遣先によるところが大きいという実情があります。


また、正社員型派遣に合う人の特徴は下記になります。

 ❶環境の変化を楽しめる
 ❷コミュニケーションが得意
 ❸向上心がある
 ❹ブランクがあるけど研究職で働きたい(条件は要確認)

転職の際の選択肢として選ぶ際には、正社員型派遣の特性をよく知っておきましょう。

あなたの転職にこの記事が参考になれば幸いです!